評価フィードバックの目的と驚き最小の原則
こんにちわ。従業員体験( EX )の向上がミッションのエンジニアリング統括室に所属しているてぃーびーです。
今回は人事評価制度の運用における締めくくりである「評価フィードバック」についてまとめます。
評価フィードバックとは?
評価フィードバックとは、評価結果をフィードバックすることです。
評価フィードバックの3つの目的
評価フィードバックには、3つの目的があります。
- 評価結果を伝えること
- 今後のパフォーマンス向上のために認識を合わせること
- 今後の活躍のためにモチベートすること
1. 評価結果を伝えること
昇格、昇給の有無や、S・A・B・Cなどの評価ランクがある場合は評価ランクを伝えます。そして、それらの評価理由を伝えます。
(クラスメソッドの場合は評価ランクがありません)
アンチパターンとしては評価結果のみを伝えて、理由を伝えないことです。
なぜ高い評価を得たのか、低い評価に留まったのか、理由がはっきりしないことで本人の中での納得感が持てずモヤモヤしてしまいます。結果として、来年度以降のパフォーマンス向上への意欲が下がってしまう懸念が膨らみます。
2. 今後のパフォーマンス向上のために認識を合わせること
今後のパフォーマンス向上に向けて
- 強みの発揮や、貢献した点
- 伸ばす必要のある点
について被評価者に伝えます。
これによって
- 成果の実感を生む
- 自信を育む
- 今後の成長のヒントを得る
などの効果を狙うことができます。
また、これらの認識についてズレが生じた場合、お互いのズレについて認識を合わせることで、来期以降の強みの発見、貢献、成長に向けた検討をしやすい前提を整えます。
アンチパターンとしては
- 改善が必要な点のみを伝えて、強みや貢献を伝えない
- 内容が曖昧で今後のパフォーマンス向上に活用できない
などがあります。
今後の活躍のために期待値調整をすること
評価結果を踏まえ、「来期以降にどのような活動に注力していくか」「どのような能力を伸ばしていくか」などの未来について話し合い、期待値を合わせます。
特に昇格や役職就任などによって、来期の役割が大きく変化する場合は、意欲が高まりやすい場面であるとともに、未経験の領域に向けた大きな挑戦に踏み出すタイミングでもあり、どのような活躍が期待されているのかについて相互の期待値を合わせておくことが重要です。
未来については、組織目線の未来と個人の未来を踏まえて話すことになります。
- 組織の未来 - 来期における会社の方針、それを踏まえた所属部門、担当業務の方針を踏まえて、事業にとって必要なことはなにか?
- 個人の未来 - 今期得た経験を踏まえて、自身のキャリアの方向性を踏まえて来期は次にどこまで進みたいか?
これらのバランスが取れるように来期どのような挑戦をしていくかを話し合い、未来に向けて意欲が高まるようなやりとりをしたいところです。
これらのやりとりをするには、評価者が被評価者のキャリア志向を把握している必要があります。
自己評価の高低に応じたフィードバック
自己評価が高いケース
評価結果よりも自己評価のほうが高いケースの場合、なぜ自己評価よりも低い評価なのかを伝え、認識を揃える必要があります。
能力や専門性が低いと自分を過大評価する傾向にある、という「ダニング=クルーガー効果」を踏まえると、成果が振るわない人ほど評価に対して不満を持ちやすいことになります。
その意味で、このケースの取り扱いは重要です。
- 個別の評価要素のうち自己評価と差異があったのはどこか?
- 総合的な評価のうち自己評価と差異があったのはどこか?
これらをできるだけ納得できる形で伝えていく必要があります。
被評価者目線での考え方についても補足します。
評価結果と自己評価にギャップがあり、思ったよりも評価が低かった場合、まず最初に不満の感情が生じるのは仕方がないところがあります。一方で、見渡せば高評価を得ている人もいるはずで、一部の人だけをえこひいきするような評価は通常行いません。仮に行っているとしたらあちこち不満を持つ人だらけになって、退職率が高まっているはずです。そうなっていないのであれば、評価に不満な人もいれば、満足している人もいるはずなのです。そして、評価を得ている人はえこひいきをされているわけではなく、会社や評価者と期待値が揃った成果を出せているということになります。
そのため、評価結果が自己評価よりも低かった場合に必要となるのは、具体的にどこが不足していて、どのようにそのギャップを埋めることができるのかを評価者とすり合わせることです。思ったより評価が低かったことにがっかりすることは誰にでもありますが、その感情を整理し、次につながる情報収集に徹底できると今後につなげやすくなります。
自己評価が低いケース
評価結果よりも自己評価のほうが低いケースの場合、なぜ自己評価よりも高い評価なのかについて具体的な理由を伝え、認識を揃える必要があります。
評価が高いことを率直に受け入れられず
- 退職防止のために本来より高く評価しているのだろう
- ご機嫌をとるために本来より高く評価しているのだろう
などの考えに至ってしまうこともありえます。
また、会社によっては、期待を持って「次の挑戦への期待値」も込みで高い評価をすることもあります。
そう言った点も含めて、なぜそのような高い評価なのがしっかり伝える必要があります。
- その人がいかに強みを発揮してくれているのか?
- どれだけ大きな貢献をしてくれているのか?
- 未来に向けて信頼でき、大きな期待をしているのか?
を具体的に、熱を持って伝えましょう。
驚き最小の原則
評価フィードバックにおける目的として
- 評価結果を伝えること
- 今後のパフォーマンス向上のために認識を合わせること
- 今後の活躍のためにモチベートすること
の3つについて紹介しました。
これらを伝える際に、理想的には「驚きが最小であること」が求められます。
1on1などを通して普段からやりとりがしっかりできていれば、評価フィードバックの時点でズレがほぼなくなります。
そして、人事評価制度を軸とした社員のパフォーマンス改善の理想はリアルタイムでいつでも評価認識が揃っている状態です。
- どんな強みを発揮しているのか?
- どんな貢献をしてくれているのか?
- 次の役割までの距離はどのくらいか?
- 何を伸ばせば次の役割に至るか?
- 本人のキャリアを踏まえた現在地はどこか?
などを常にすり合わせ続けることです。
これを実現するために必要なのが継続的パフォーマンスマネジメントです。
継続的パフォーマンスマネジメントができていれば、評価フィードバックの3つの目的のうち
- 今後のパフォーマンス向上のために認識を合わせること
- 今後の活躍のためにモチベートすること
の部分はフィードバック専用の面談で伝える必要はなく、普段のやりとりに溶け込むことになります。
一方で、そこに至るためには、
- マネージャーが定期的にメンバーケアをできる時間的余力を持っていること
- マネージャーがメンバーのキャリアの成功を願うマインドを持っていること
- マネージャーがコーチングスキルを持っていること
- マネージャーが部門、職種の前提を踏まえてメンバーの成長に必要な要素を把握していること
- マネージャーが普段の活動と評価基準を紐づけて説明できること
などが必要になります。
一足とびには到達できないため、少しずつ整えて行く必要があります。
まとめ
今回は人事評価制度の運用における締めくくりである「評価フィードバック」についてまとめました。
評価フィードバックが
- 評価者、被評価者双方にとって気の重い嫌なイベント
になっている場合は、要点を抑えて
- 評価が高い場合、その結果を実感し、さらなる意欲につながる場
- 評価が低い場合、本人も不足があることになって多くしていて、改善が必要な点が明らかになり、意欲を持って改善に取り組む気持ちが持てる場
になるように変えていきたいところです。